ギタリストがウクレレをレコーディング、ミックスしてみてわかったことまとめ

テクニック

enyaというメーカーの『Nova U』というコンサートウクレレを買いました。

ウクレレははじめて触ったので、レビュー+楽器として触り、レコーディング、ミックスをした感想と、その際やったことを書きます。

まずはこの楽器そのものについてざっくり。

まずかわいい。サウンドホールの形が独特で、色が鮮やか。樹脂製です。
ハロウィンカラーにしました、

木製のウクレレを弾いたことがないので比較ができませんが、音色は透明感があります。

おもしろいのが、ネックの中も空洞になっていて、音が響くこと。

付属品はこちら。

ケース、ストラップ、カポ、替えの弦、なぞの袋。

ウクレレシンガーの山口あいさんがレビューしているので、詳細をもっと見たい方はこちら。

ギタリストがウクレレをレコーディングして思ったこと、やったこと

早速レコーディングをしてみました。

ギター・ベース弾きから感じたこと、レコーディングで気を付けたことをざっくり。

・意外にチューニングが狂いにくい
・独特なチューニングの合理性
・音域がせまい
・音量がめちゃくちゃ小さい
・ノイズ対策
・使ったアイテムはフレットラップ、カポ、ピック

意外にチューニングが狂いにくい

ナイロン弦なので、すぐチューニングが狂っちゃうのかな、と思いきや、全然狂わないですね。

小さいからなんでしょうか。弦のテンションは高いんですが。

快適にレコーディングできました。

チューナーのアプリは「Guitar Tuna」というものを使いました。見やすくて最高。課金しなくても使えるし。

独特なチューニングの合理性

ギターからすぐ持ち替えて弾けるだろう、とナメて買いましたが、ギターとはチューニングが結構違うので感覚的に弾きにくいです。

ピアノだとこんな感じ。4弦が1弦の1音下。

そのせいで、コードの構成音のどこを押さえているのかがわかりにくい。

なんでこんな変なチューニングになっているのかということを、弾いていて思ったんですが、ソロはギターに近い運指で、コードはギターよりもクローズドに、ローポジションで弾ける。

なかなか合理的なチューニングになっているんだなと。

音域がせまい

下のC3からD4くらいが豊かに鳴らせる音域。1オクターブちょっとしかないです。

最高音はD#5。そのあたりになると、ペグとナットの間をはじいたような「ピン」という音になります。ほとんどサステインはない。

下のポジションほど響きが豊かなので、アレンジの際はなるべくメロディをローポジションで弾けるように工夫する必要があります。

キーはメロディの最低音に近く。かつ、調号が多いとコードが弾きにくいので、なるべく調号が少ないキーにする。

また、開放弦の響きがよく混ざるので、開放弦もある程度主要コードに合わせる。

アンサンブルの場合、音域のせいでアルぺジオをするとメロディと混ざりがちになるし、カウンターメロディもいれるのが難しいので、基本バッキングはストロークになります。

今回はカバーを録音したので、公開されているMIDIをDAWに貼り付けて、そのMIDIを直接見ながらメロを弾いたり、コードを当てはめながらレコーディングしました。このおかげで準備が少なく、かなり早くできたと思う。

ツール

フレットラップ、カポ、ピックを使いました。

フレットラップは開放弦を使わない時に、響きを消すために使用。とくにソロで。余計な響きが消え、クリアに録音できます。

演奏している弦の音量が小さいから、相対的に開放弦の鳴りがかなり気になるんですよね。

カポは付属のもの。今回はそんなに使いませんでした。チューニングが狂いやすいから。
なので、キーの方をウクレレに合わせました。

今回は柔らかい音が欲しかったのでほぼ指弾きでしたが、高い音など、指弾きだと音量が出ないものはピックで弾いて音量を出しました。

音量がめちゃくちゃ小さい

音量が小さいので、ノイズ対策が大変です。

特に指で弾くとき。ピックの半分くらいの音量になります。

人間の声よりも音が小さい。服が擦れる音なども入っちゃう。

サー、というSNが悪い時のノイズも大きい。レコーディングブースだし、換気も切っていて、耳で聴きとれる環境ノイズはほとんどないんですが、それでもノイズが目立つ。

対策としては、まず、プリアンプを外してインターフェイス直結にしました。
プリアンプが入ったほうが明るいサウンドにはなるんですが、ノイズも増えます。

次にマイクを変えました。

audio-technica「AT4040」で録っていたんですが、Ik Multimediaのキャリブレーションソフト「ARC2」付属のマイクを試してみたところ、ノイズが減り、サウンドもよかったのでこちらにしました。

音はサウンドホールから出るので、そこを狙う。

ギターだったらすこしハズしたりという選択肢もあるかもしれないけど、音量が稼げないのでサウンドホール一択。

もっと指向性が狭いものを使ってもよさそうだけど、ほぼ理想的なサウンドになっていたのでまあいいかな。

あと、レコーディングはストラップをつけて立って弾いているんですが、ストラップピンのところからギシギシ音がするので、ワセリンを塗って鳴らないようにしました。より最適なものもありそうだけど…

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クリックも混ざるので、モニター音量にも気を付けたい。

ミックス

ミックスをする場合、まず気になるのが弦による音量の違い。

コンプレッサーをかける前に、波形編集である程度揃えたりしたほうがよさそう。

waves「BassRider」を軽くかけると自動で1音ごとに音量を調節してくれていい感じになったので、ソロはこれをかけています。

上がかける前、下がかけた後。

セッティングは音域のSensitivityが最大。Responseがfast。音域は+-6dB。

Bass Riderのよいところは、1音単位でガチっとかかるので、コンプレッサーみたいにノイズが上がって来づらいし、アタックが潰れないし、コンプ感が出ない。

ただ、ロングトーンの途中でいきなり上がったりなど、へんな挙動をするときがあるので、一旦波形で書き出して目視したほうがいい。変なところだけ差し替え。

最後に、OKテイクを繋げて一度書き出して、iZotope「RX」でノイズ処理をしました。とくに一番最後のロングトーン。

服のこすれの音が多いので、それがとれる最上位版を買いたい…

■RX7 Advanced | Rock On Line eStore

おわりに

と、こんな感じで複数の楽曲をレコーディングして販売開始しました!

朝食のためのウクレレBGM集を制作しました