最近こんなツイートが回ってきました。
これですね。
■ハイレゾカラオケ - すべての人に、歌いやすく、気持ちいいカラオケを。
僕もパッと見で「どう考えてもそんなわけないだろ」と思ったんですが、
「ハイレゾにする(サンプルレートを上げる)と遅延が少なくなる」ということ自体は本当なんですよね。
せっかくなのでもうちょっと調べてみました。
条件によっては、はやさの違いを認識可能
サンプルレートを上げると遅延が少なくなるということは事実だとして、人間はそれを認識できるものなのか。
ちょうどいい記事を見つけました。
■【今さら聞けない用語シリーズ】レイテンシー と バッファサイズ とは?
この記事では、Mac OS 10.11.4、3.5GHz Core-i7、メモリ16GB、バッファサイズが2048の場合、
・サンプルレート44.1kHzだと、出力レイテンシーは約45msec
・サンプルレート96kHzだと、出力レイテンシーは約24msec
となっています。
今回と同じサンプルレート192kHzだと、12msecくらいのはず。
44.1kHzの場合と比べて差し引き33msec。
人間が音のズレを認識できるのは18msecあたりからなので、この条件だと、「お、早くなったな」と感じることができると思います。
というわけで、スペックやバッファサイズなどの条件によっては認識可能です。
問題は他にある
「声のかえりがはやい」こと自体は事実なのですが、この内容には問題が多いと思っています。それが、最初に見たときの「ありえない」という印象に繋がっているのかなと。
・音自体のスピードが速くなっている図に見えること
・ハイレゾカラオケの定義
・4倍以上細かい表現力という表記
まずは図ですよね。「あ~♪」という波形が半分になっていて、音そのものが速くなっているように見える。気温が300度とかヘリウムが空気に半分混ざっている部屋ならこんな感じになるかもしれませんが、ハイレゾによって音自体がはやくなることはない。
次は「ハイレゾカラオケ」。
「マイク音声入力を24bit/192kHzで音響処理したもの」がハイレゾカラオケの定義らしいんですが、
ここで使われているオケはCD品質(16bit/44.1kHz)のものをアップコンバートしているだけなんですよね。これは本来のハイレゾとしてはNGです。
ハイレゾカラオケのマークだけ見た人はどう思うでしょうか。音楽もハイレゾだと思いますよね普通は。
ただでさえ理解が進んでないハイレゾの定義をブレさせるというのはやめたほうがいいと思うのです。
ハイレゾカラオケがOKなら、内部レート48kHz以上のデジタルミキサーを使っているライブハウスはハイレゾライブハウスを名乗っていいんじゃないか、という話にもなります。
「4倍以上細かい表現力」というのも誤解を与える表現だなと思います。数字上での話であって、それが認識できるかは別なので。
おわりに
ハイレゾだけをウリにしようとして、頑張ってLPを作るとこういう感じになっちゃうのかな、というのはわからんでもないですが。
音楽に薬事法みたいなものがあったら引っかかりそうですよね。