歌モノを編曲する仕事をやめます。その理由を書いていく。

こおろぎの活動

歌モノを編曲する仕事をしばらくやめることにしました。

ざっくりまとめると

・自分の資産にならない
・立ち位置が半端になってきた
・興味がない

ということが大きな要因です。

自分の資産にならない

一番大きな理由は、自分の資産にならないこと。

扱いをコントロールできないし、制作後は印税のようなお金も入らない。

個人の楽曲だと、配信をしなかったり、ネット上でリリースを打たない人も多く、実績としても弱い。

長い時間をかけて他人の編曲をするよりも、自分でサクサクと作って出したほうが反応もいい。

立ち位置が半端になってきた

「安価で個人の弾き語り系シンガーソングライターの方の編曲をする」というコンセプトでやってきたんですが、その部分が半端になってきました。

最終的に約10万円(スタジオ代金、外注費、楽譜制作費等は別料金、パラデータ納品)、という仕事内容でやっていましたが、労力と金額のバランスも合わなくなってきた。

この仕事の95%は正統派バンドアレンジが求められます。それをほぼ打ち込みと宅録で完結させなければいけない、ということに品質的にも納得がいかないし、

僕の時間を使って打ち込みで生楽器を再現するよりも、短い時間でスタジオで録ったほうがいいんじゃないか、という気になります。

かといって、もう少し予算をもらってプレイヤーを手配して、スタジオで録る、というのもあまりやりたくない。そこまでこの仕事に興味がない。

スタイルを変えた

上記に加えて、最近は生楽器のシミュレーションをやめよう、ということにしています。

なぜなら、生楽器の演奏だとレコーディングしたものよりも品質が落ちるし、DTM特有の音遣いにしたほうがかっこよくできるから。

バンドアレンジは、自分が伸ばしているスタイルとも食い違ってきている。

興味がない

この数年、シンガーソングライター系の歌モノには興味がなく、ほぼ聴いていません。

編曲はほんとうに仕事でやっているだけ、という感じです。

その点も申し訳ないというか、好きでもないから質を上げられる気がしない。

それでもたまにならいいんですが、ここ数カ月間、編曲の仕事がびっしり入っていて、何もできない状態になってしまったので、一旦すべてストップしたいと思いました。

その他

コミュニケーションコストがすごい

編曲の場合、20~40回ほどやりとりをします。BGMだと多くても3~5回くらいです。

インストよりも細かい部分の注文が多く、途中での変更も多い。

仕事の半分はプロジェクトを立ち上げたり書き出しをする時間じゃないのか、と思うほどです。

遊べない

編曲は作曲に比べて遊べる部分が少ないです。

ほとんどの場合、相手の脳内を再現する作業になるので、遊びの音を入れることができない。

インストに比べてアイデアの採用率が低く、新しいアイデアよりも、既存の、相手が聴いたことのあるもの、頭の中で想像しているものしか採用されない。

相手が知らない和音も、楽器も使えない。

そういうことが続くと、自分でも「こんなもんでいいかな」となってしまい、成長が止まってしまうのが怖い。

同じような曲が多い

上記の理由もあり、同じような曲ばかりです。

前にこういうエントリも書きました。

■99%のシンガーソングライターは同じ曲を作る

「コントロールできる範囲が少ない」「変化が少ない」

と、つまらない仕事の条件も揃っているんですよね。実際おもしろくないです。

おわりに

自分でも区切りをつけるためにまとまった文章にしてみました。またいつか再開するかもしれませんが。

BGM、劇伴の仕事と、その延長での歌モノは引き続きやっていきます。