スマートフォン向けアプリ、特にゲームの音楽を作らせていただくことが多いのですが、リリースされたアプリの音を確認すると、他のものよりもかなり大きな音量で実装されていることがあります。
アプリはCDと違い、大きい音量で鳴らせばいいというものではありません。
他のアプリとの音量差がありすぎると、立ち上げたらいきなり大音量ではじまって不快に感じたり、音量操作に一手間かかったりして体験を損ねます。
そうすると、ログインのたびにその負荷がかかり、ユーザーにジワジワとストレスを与えてしまいます。実際の行動にまで悪い影響を与えることになりかねません。
アプリの音量が大きいなと思いつつ、そこは外注先の僕が口を出していいのかどうかわからない部分なので、ここにひっそりと書いていこうと思います。
ラウドネス基準とは
今回は音の大きさの単位「ラウドネス基準」を意識して、それに合わせていきませんか、というお話です。
ラウドネス値とは「人間が感じる音の大きさを表す値」。
ラウドネス基準とは、放送やサービスで聴感上の音量を揃えるための基準。
LUFSやLKFSという単位で表示される。特に放送では厳格に規格が決められています。
ここでは全体のラウドネスである「ロングターム」を主に見ていきます。
スマートフォンは今のところラウドネス基準が明確に決められていないんですが、これからアプリの審査に導入される可能性もなくはないと思います。
-18LUFSあたりを基準にしてはどうか
iTunesは -16.5 LUFSでラウドネス・ノーマライゼーションが入るようになっています。
iTunesは音楽のみの値なので、ゲームやアプリの場合はもう少し低めの-18LUFSあたりがよいのかなと思います。
これはPlayStation Vitaと同じ値です。
ちなみに、他のアプリだと、
・spotify -14LUFS
・Youtube -13 LUFS
他の機器だと
・PlayStation 3 -23LUFS
・放送 -23 LUFS ±1
ですね。まちまちですねほんと。
測定方法
1kHzのサイン波を-10dBFSにしたファイルをスマホに読み込んで、それを機器からPCに入力し、そちらの入力も-10dBFSになるようにします。1kHzのサイン波はそのままLUFSの値になります。
一旦録音ソフトで録音するか、下で紹介するOrban Loudness Meterのリアルタイム測定で入出力のマッチングをします。
録音ソフト
そのままの音量設定でゲームを一通りプレイし、色々なシーンがバランスよく出てくるようにしたものを録音します。
それをラウドネス測定ソフトに入れて測定。
スタンドアロン型のソフトで、オーディオファイルを直接入れると測定してくれます。
右下の水色の数値、画像だと「-13.2」となっているのがラウドネス値です。
これが-18LKFSになるようにゲーム全体の音量を調節します。
単純に全体を1dB下げると1LKFSほど下がります。
おわりに
まあ、厳格に基準が決まっていないので、今のところは他のアプリとの兼ね合いで、耳で決めていってもいいのかもしれませんが。
とりあえずは極端に大きい音、小さい音は避けるべきです。このことは、大手の会社でもディレクター、プロデューサーが理解しておらず、不要な場面で音圧を求められることがあるようです。
音楽の納品ファイルは余裕を持っているものの、基本的には基準よりも高めのラウドネスのファイルで納品しますので、そのまま使うと全体の音量が大きくなりがちです。
まずは意識してほしいなと思います。
そして、色々書いたのですが、情報が少なすぎて合っているかどうか全然わかりません。
そういうものが書いてある書籍などがあったら教えてください!
参考
全部かなり参考になりました。