『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 – 答えはマネジメント現場にある! 』を読んでみました。
ざっくり
・アーティスト的な活動をしている人とそのマネージャー向け
・マネージャーの基礎知識、考えるべきことが網羅されている
・いい意味で教科書的
アーティスト活動をしている人、そのマネージャー向け
基本的には、曲を作ってそれを売って、ライブをして、個人からお金をいただく、という王道なアーティスト活動をしている方と、そのマネージャー向けの本です。
バンド、シンガーソングライター、アイドル等ですね。
インディーズにも触れていますが「既存の仕組みの中でどう立ち回っていくか」という内容が中心なので、メジャーを視野に入れて活動している人のほうがより参考になると思います。
長い時間をかけて仕組み化された音楽業界で活動していくには、前提となるルール、勝ち方を知っていたほうが断然有利です。
マネージャーの基礎知識、考えるべきことが網羅されている
以下について、マネージャー視点で書いてあります。
・「音楽ビジネス」「マネジメントの定義」
・3つの現場「音源制作」「ライブ現場」「プロモーション現場」
・4つの商材「音源」「ライブ」「グッズ」「ファンクラブ」
・ネットサービス
今現在の音楽業界がどうなっているのか、というのが網羅されており、いい意味で教科書的だな、という印象を持ちました。
マネジメントする人はどのようなことを考えて行動するのか、ということも書いてあり、なんとなくやっていた人も気づきがある内容が含まれていると思います。
マネタイズ
「音楽はここで買う」という王道パターンが存在しないことになります。
無料と有料をいかにプランニングしていくかが、マネジメントに問われている
マネタイズについては、アーティストの方向性や現在の立ち位置で変わっていくので、最近はコントロールが難しいものになっていますが、やりがいもありそう。
テレビ出演について
テレビ出演について、ここまで具体的に書いてある本は見たことがありません。
強いレコード会社に所属したのは良いけれど、プライオリティが低いと世に出づらい。逆に、アーティスト数の少ないレコード会社に所属したことでプライオリティは上がって、テレビに出るチャンスが巡ってきたりする。
テレビに出演する方法だけでなく、入りのしかた、リハーサルのしかた、本番までの動き、どう見せていくべきか、などが具体的に書いてあります。
権利について
お金の流れ、契約、権利についても丁寧に書いてあります。音楽業界のお金の流れって複雑ですねほんと。
1 法律等で定められていること
2 業界習慣として決まっていること
3 個別交渉によるパワーゲームの3種は区別した上で、構造的に学んでいく姿勢を持って臨もう。
心の平和のためには知識が必要
IT
ITサービスを理解せずに音楽ビジネスはできない時代だ
ネットサービスについても一通り解説してあります。
ITができないとだめ、というより、音源や放送はデータなので、ITを使うと圧倒的に活動をブーストできる。
僕もよく言ってますが、ITは自動車なんですよね。ITを使わないと徒歩で目的地に向かっているようなもの。どんなに走るのが早くても自動車の速度にはおいつけない。
デジタルに対する無知と不勉強が日本の音楽業界の一番悪いところだとは思います
逆にデジタル領域で勝負すれば、メジャーの方たちが土俵に上がってこない可能性は高い。
インディーズはテクノロジーも含めたスピード感で勝負していくのもいいのかなと。例えばVALUはメジャーの人はほぼやってないですしね。
セルフマネージメントは難しい
DIYミュージシャンは、自分を俯瞰で見る能力が必要になりますね。
これはかなり難しい。マネージャーの人格を作り出さないといけない。
「~スタジオ」みたいに、名前をつけて活動を管理したり、というのも精神的な面でいいかもしれない。
僕も一応「ROSSO STUDIO」という屋号があるんですが、使ってないですね…
おしまい
疑問なんですけど、インディーズバンドのマネージャーってどのタイミングで入れるべきなんですかね。
最初のうちから、バンドのマネジメント担当に多めに払うようにしておけばいいのではないかな、なんて思ったりもします。
この本は、ザクっとですが3、4時間くらいで読めました。
マネージャーという、今まで読んだことのない視点からのもので新鮮でした。僕の活動の方向にはあんまり生かせない内容でしたが。
基礎的な内容なので、音楽業界の仕組みがよくわからない、という人が買うのであればまずハズさない本だと思います。