【音楽の本】Tweet&Shout 〜 ニューインディペンデントの時代が始まる〜 読んだ感想とか色々

教則本・その他本

弟に「いい本だったよ」と言われてとりあえず買ってみたんです。

Tweet&Shout ニュー・インディペンデントの時代が始まる

なんだか昔のロックみたいなタイトルだなと思ったら音楽の話でした。

ざっくり中身を要約すると、

これまでのインターネットと音楽の歴史。そして、これからは毎月500円払ってくれる300人のファンを作る戦略がいいんじゃない?

っていう本です。

最初はインタビュー形式での歴史のお話。僕はリアルタイムでこの流れを見てるので、特に目新しい情報はなかったです。後半は今後について書いてあるので、文章を引用しつつちょっと短くして、相づちを書いてみました。

アーティストの今後のビジネスモデルを決めていくものとして、ツイッターはかなり有用

これは僕も思います。ツイッターは勢いが衰えてきてると言われてますけど、未だにこれ以上面白くて、発信者、受信者にとって面白いSNSはないなと。リアルと匿名と、人との距離感が丁度いいんですよね。

この本でも触れてますけど、大体ツイッターを続けられないアーティストって、ファンに発信するぞ!って気負ってて文章が固いんですよね。

なので話かけづらいし、隙がないのでツッコミづらい。発信する方も気を使い過ぎで疲れるという。もっと気楽にやったほうがいいですね。

にしてもタイトルにも入ってるので、津田さんツイッター好きすぎるだろっていう。

音楽ライターは「メディアに長けたサポーター」になることが今後求められる

音楽ライターって仕事がどんどん減って行ってるらしいですね。宣伝を目的としたメーカーよりの記事は面白くないですし、ネット上で質の高いレビューを書いている人も多いし、SNSで直接アーティストとコミュニケーションをとれるし。

是非新しい役割を見つけて、僕らを助けてくれる存在になって欲しいところ。

逆に聴き専と言われるヘビーリスナーも仕事にできそうだよなとは思ってます。今風にいうとキュレーターのような役割。やっている方もいますけど、もっと紹介するものの質を高めて、絞ってアウトプットするといいかなあっていう事が多いです。

この人の紹介するものは聴く価値があると思われるといいですよね。

NAVERまとめにも「◯◯な曲まとめ」を沢山作って欲しいと思ってます。それで稼ぐのも正当な対価だと思いますよ。期待してます。

時代は移る。カメラ業界でもフィルムからデジカメに変わり、メーカーやカメラマンも売り方や機材を変えているのに、レコード業界は政府に守って貰おうとしている

業界だけじゃなく、業界がやらないなら自分たちで考えようっていう人が少ないのも寂しいです。とっくにビジネスモデルは崩壊してるだろうと。

広告も今までのやり方じゃダメです。というか面白くないんですよね。音楽の存在自体をエンターテイメントとして魅せられるようにするといいよなあとは思います。僕は広告枠に音楽が乗ってるとがっくりしますね。単純に露出を多くすればいいだろうっていうのが嫌いです。

起業家の家入さんの動きなんかは見てると面白いです。ミュージシャン以上にエンターティナーでアーティストなんじゃないかなとすら思います。僕がおっさんになってきただけでしょうか。それともそもそも違いなんてないんでしょうか。

僕はなるべく「曲をリリースしたので買ってください」っていう言葉を使わずに売りたいなあとは思ってます。課題です。なんだか面白そうなものがシェアされてきて、面白いからお金払っちゃおうっていう。そういうのが理想ですね。

今はスピード感が大事

スピード感っていうのは、生放送もそうですけど、何かに対して感じた気持ちだとかの刹那的な要素ですよね。音源として完成されてなくても伝わるもの。今聴かないといけないもの。

音楽が「フロー」になってきてる感覚ってすごくあって。SNSでも流れて行くじゃないですか。「いいね!」したとしてももう一度聴く曲って少ない。

文章と同じように「フロー」と「ストック」をもっと意識したほうがいいんじゃないかっていう。

常にフローで聴かせていく「今聴かなきゃ」っていう曲。例えば、ほぼ日Pさんのような時事ネタ。特定の曲をみんなでカバーしまくる「お祭り」。有名Pの新譜を「歌ってみた」もそれに入りますね。

ニコ動はフローの宝庫です。逆にニコ動以外にこういう文化がないので、他の所で活動してる人たちなにやってんのって思いますよね。海外でもYoutubeやFacebookでお祭りが開催されてるのに日本だとない。文化の違いもあるでしょうけど、まず面白いことやってるアーティストが少ない。

逆に「ストック」されるような曲はクオリティと独自性、ストーリーとコミュニティがないといけないなと思います。

蛇口をひねれば水は手に入る、でも人々はミネラルウォーターを買う

これはこれからの音楽において非常に大事な考え方だなあと。代表的な例がボカロ曲で、動画がフルで上がっているのにCDを買う人が大勢いる。

「所有したい欲」っていうのがあるのかな。あとはグッズとしての価値かな。もちろんジャケットや特典などの付加価値も大事だと思います。

なので、フルで聴けるから買わないという事はないです。逆にフルで上がってても買ってもらえる工夫をするべきですね。

「お上」とか「党」とか組織という大きなものに任せてなんとかなる時代は終わって、これからは個の力が大きくなっていく。トップダウンからボトムアップの世の中に変わりつつある。それは音楽の世界も全く同じ構図。

僕はボトムアップでやっていくしかミュージシャンが生きる方法はないと思うし、ミュージシャンが本当の意味でインディペンデントでやれる覚悟があるかどうかという話なのかなと。

これは僕も最近ずっと思ってます。数年前までは会社員のようにレコード会社に合格して言う通りにすれば後は安泰、のような雰囲気だったけど、そういうのは終わりだろうと。

これからはインディペンデントな状況で結果を出して、レコード会社とは同じ立場で提携するという考え方のほうがいい。

今は普通の会社員ですら終身雇用が怪しいですからね。

ソーシャルメディア、スマートフォン、クラウドコンピューティングという情報環境を支える3つの重要な技術が一気に登場・普及したことで、真にクリエイターが独立して活動できる状況が整った。

その状況の変化を意識し、独立して活動しているクリエイターの事を筆者は「ニュー・インディペンデント」と呼びたい。

色々なwebサービスやSNSが出てきてます。自分の活動に合うサービスを選ぶ事と、新しいサービスに目を光らせておくのも大事かなと思います。そういうのもアーティストの独自性かなと。

僕もとりあえず新しい事は試してみる事にしてます。合わなかったらすぐ撤退。その中で続いている1つがブログです。新しくねえ…

「毎月500円の収入をもたらしてくれるファンを300人捕まえなさい」それがニュー・インディペンデントの柱

定期的に払ってもらうモデルっていうのは、最近どのサービスでも採用してますね。メルマガ、Evernoteからプラグインまで。安定して収入を得られるところが魅力です。逆に課金までのハードルは高いかもしれないし、その金額に見合うサービスを毎月提供しないといけない。

Frekul(フリクル)がこのモデルでやってますね。
まずは無料で音源が届くメルマガに登録してもらい、プレミアムサポーターという有料サービスに繋げてます。さらに投げ銭もあるのがいいですね。それによってお金を出したい人はもっと出せるようになってる。僕はかなりフリクル推しです。

Frekul(フリクル)新しい音楽に出会う。アーティストとつながる。

作るコンテンツの質と売り上げの問題は切り離して考えるべき。作品作りだけに作り手のクリエイティビティを集中させるのは「食べていく」ことだけ考えるなら、既に現実的な手段ではなくなっている。

これは作る側としては精神的に難しいんですよね。僕も最近やっと分けて考えられるようになってきました。「音源の売り上げ」というホームランばかり狙うのは不確定要素が多いしリスクも高い。

食べて行く事をちゃんと考えられれば、僕のようにニーズが低い編曲家というポジションや、DTMクラシック音楽でも食って行く手段は見つけ出せるんじゃないかと。もちろん質が一番重要なんですけど。

僕で言うとブログとかね。安定した収入を得る為にクオリティ以外に何が出来るかという。

これからのミュージシャンは、「アルバム」「ライブ」「配信」の3つの軸を立て、それぞれを組み合わせてビジネスにして行くべきという2010年の「未来型サバイバル音楽論」での結論。

さらに時代は進み、それに加えて「ブロマガ」のような月額定額課金プラットフォームや、KickstarterやCampfireのようなプロジェクト構想をネット上に提示することで制作費を資金調達できるクラウドファンディングサービスが登場している。

僕が最近注目しているのがクラウドファンディングサービスです。お金を出したい人は沢山出せるし、自分がこの作品に関わったっていう「自分ゴト」になる興奮があるし、失敗してもリスクがない。

例えば僕だったら、本物のオーケストラでコンサートをするために資金を募ります。2000円でチケットのみ、5000円でTシャツ付き、1万円でスコア付き、5万円で最前席&記念撮影&スペシャルグッズみたいな。

オーケストラを集めてコンサートなんて、失敗すればものすごい借金ですけど、クラウドファンディングサービスなら集まってから実行するのでリスクがない。

そして、ただチケットにお金を払うより「自分が関わった感」が出る満足感というか、優越感がありますよね。「俺がお金出して作ってやったんだぞ」っていうw

僕自身、Campfireを見てワクワクしてます。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)- クラウドファンディング

 

と、こんな感じで、自分の意見が多くなりすぎてしまいましたが、たまにはこういうのもいいいですよね。

「今までなんとなく食えてた人も食えなくなる。才能がある人間しか食えなくなる」というのもありましたが、それは最もなので、才能がある若手はどんどん潰していきたいですね!

この本自体は僕にとって目新しい情報はなかったです。昔話が多いし。

じゃあどういう方が読むべきかっていうのは、ネットにはいるけどツイッターはやってないっていう人ですね。

ツイッターにいれば大体このくらいはわかってると思いますし、ネット自体ほとんどやってない人は基本勉強嫌いなので結局読まないんじゃないかなと思ってます。

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ちょっと内容は古いですが、考え方は同じこれもおすすめしておきます。2010年「未来型サバイバル音楽論」